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木工作家 吉川和人

木は朽ちるという美しい可能性を持っています。 それを美しいと感じるのは、われわれ自身も生の盛りを経て、 やがて老いて朽ちていくことを知っているからかもしれません。 子供の頃に住んでいた家のそばには森があり、 そこでは膨大な数の生死が季節ごとに繰り返されているのを感じながら育ちました。 嵐の夜には巨木がゴーゴーと音をたて、布団の中で畏れを抱いた存在でもありました。 わたしにとっての木は、ただの材料としての質量ではなく、 ガサガサした皮や青臭い匂いを持つ、生きものとしての樹のようです。 自分が作るものにもその命の気配や生々しい官能性を映しこめたらと思っています。
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